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クローゼットクラシックならぬ・・・
ここ数年、レリックギターと言われる、「長年ハードに使い込まれたビンテージギターの雰囲気・ダメージを再現したモデル」の人気が上昇しています。
塗装面に走る規則的とも不規則ともとれる幾何学なウェザーチェックは見ているだけでもウットリしますね!
このウェザーチェック、湿度や温度の影響を受けた際の木と塗装の収縮率の違いによって発生すると言われています。
長い年月を経て溜まったストレスに塗装が耐え切れなくなった際に生じるものなので、そう簡単に発生するものではありません。
特にポリ塗装は優れた強度がありますので、基本的にビンテージギターのようなウェザーチェックは生じません!
そもそも木部を保護するために施されている塗装が簡単に割れては困りますよね。
かっこいいウェザーチェックが発生するためには多くの条件が重なりあう必要があるのです。
ただ、どうしても僕のギターにウェザーチェックを入れたい!
そのウェザーチェックを眺めながらウットリしたい!
あと数十年も待てない!
そんな僕のためにMIT◯UBIS◯Iさんがタイムマシンを作ってくださっていました!
その名も「急冷機能付き冷凍庫」
さすがMIT◯UBIS◯Iさんです。
中に放り込むだけで、ギターの塗装は数十年の時を経たかのようなストレスを受けることでしょう。
一方通行ですので、タイムマシンではなく玉手箱の方が適切かもしれませんが・・・
どのような結果になろうとも、元に戻すことはかなわないので、木部の割れなどが起きても泣き寝入りです・・・
どうなるかはわかりませんが、これもレリック技術研究の一環!
そう思い、僕はギターを冷凍庫の中にしまい、3時間ほど待ちました。
ちなみに、冷凍庫に入れる前の状態はこちら↓↓↓
製作から7年と少し。
僕が学生時代に製作したギター第1号です!
バスウッドボディーにトップのみラッカーで塗装しています。
ウェザーチェックは主に露出している塗装面に生じることが多いです。
そのため、露出していない箇所への影響を緩和するためにネックジョイントプレートやピックガードはつけたままです。
裏パネルは付けない派ですので、外しております。
大事に大事にしていますので、綺麗ですね(笑)
そして3時間後・・・
全身に霜を纏ったボディーが出てきました!
「うおー!結構綺麗にクラックはいってるー!」
とテンションが上がったのもつかの間。
常温に戻るにつれて、ウェザーチェックが消えてしまいました・・・
きっとまだ冬しか経験していないからだと思い、次の手として用意したのは「カーボンヒーター×2」
これでカラッとした陽気な夏の気候も演出出来ます!
カーボンヒーター2台を向かい合わせた間にボディーを置いて炙りました。
ちなみに、この際にはピックガードを外しました。
熱で変形する可能性が考えられましたので。
そして数分後・・・
出来ました!玉手箱により数十年を経過したボディーが!
これぞクローゼットクラシックならぬ、冷凍庫クラシック!
それでは、人工的に作られた夏・冬を経過したボディーを御覧ください↓↓↓
同じアングルで撮ってみましたが、わかりにくいですね(笑)
ウェザーチェックをアップで↓↓↓
お手軽に済んだ割には、結構かっこいいウェザーチェックではないでしょうか?
スパイダーウェブにもならず、雰囲気ある横方向の長いウェザーチェックがボディーを駆け巡っています!
思惑通り、ウェザーチェックはピックガード等の縁で止まっています。
これはきっと冷蔵庫に入れる時につけっぱなしにしておいた効果ですね!
ウェザーチェックの量の割には綺麗すぎるのでデッドストック品のような状態ですが、貫禄あるギターに育ってくれるよう、より一層かわいがって行きたいと思います!
※このような方法にはリスクが伴います!決して真似しないでください!
「どうしても!」という場合には自己責任にてお願い致します!
ビンテージの雰囲気が欲しいけど、冷凍庫はちょっと・・・という方は
http://www.digimart.net/cat01/shop4904/DS02780262/
こんなギターいかがでしょうか?